割増賃金率の引き上げが賃金体系の変更とみなされ、月額変更届の提出が必要となる可能性があります。
月額変更届につきましては、以下①~③の要件を全て満たす場合に対象となります。
①昇給や降給等の固定的賃金の変動、または賃金(給与)体系の変更があったこと
②変動月からの3カ月間の標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じたこと
③3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上であること
2023年4月1日以降、中小企業の月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられたため、月60時間を超える時間外労働を行った社員は、”①”の要件を満たしたとみなされる可能性があります。
その社員が②や③の要件も満たしていると、月額変更届の提出が必要となる場合があります。
【参考】
時間外労働の集計期間によって、割増賃金率の引き上げを原因とする月額変更届の対象月が異なります。
(例1)4月1日~4月30日までの時間外労働について4月中に支払う場合
4月・5月・6月を対象月として、月額変更届の提出の要否を判断します。
提出が必要と判断された場合にPCA給与で行う操作の詳細は
こちら(PDF)をご確認ください。
(例2)3月21日~4月20日までの時間外労働について4月中に支払う場合
5月・6月・7月を対象月として、月額変更届の提出の要否を判断します。
提出が必要と判断された場合にPCA給与で行う操作の詳細は
こちら(PDF)をご確認ください。
※上記のように、集計期間の途中に4月1日が含まれている場合、新しい割増率が適用されてから丸1ヶ月間が計算期間として確保されていないため、4月支給の給与は月額変更届の対象外となります。
※割増賃金率の引き上げを原因とする月額変更届の提出が必要な社員かどうかについては、年金事務所または社会保険労務士等に個別にご確認ください。